キャンプの楽しみはいろいろあるのだけれど、焚火ほど魅力的な遊びもそうない。
普段街の中で暮らしていると、火はガスコンロからスイッチ一つで出るもので、消すのも簡単スイッチ一つ。
例えるなら命令通り動くロボットか、とてもよく調教された動物のよう。
焚火の火はそうはいかない。 時に暴れ、爆ぜ、かと思えばか細く弱り、一瞬として同じ姿を見せない。
まるでそう、意志を持った獣のようだ。
とはいえ、焚火をするのはそんなに難しい話じゃない。
基本的に小さなものから燃やし始め、徐々に大きな枝や薪へと火を進化させてゆく。
火起こしは着火剤を使ってもいいし、松ぼっくりや枯れ葉でもいい。
慣れてきたら麻紐を解いて火打ち石でなんて人もいる。
焚火をするなら、やはりボクはウィスキーをやりたい。
カッコつけてるねと言われると、そうだよと答える。 気づけばカッコも板についてくる。
よく乾いた薪はとても扱いが容易い。 そのためボクはいつも薪を持参している。
1度薪を持たずに焚き火しようとして、たまたま日中豪雨に降られた時は参った。 これが全く火が起きない。
今なら、もしかしたら起こせるかもしれないけれど、でもまぁ、薪を持って行った方が気楽だな。
焚火の火は炭と違うので、何かを焼くなら遠火でじっくり。 それに気付くまで何度もごちそうを焦がした。
でも、失敗は成功の糧となる。 自分で学んで成長できるのはとても面白い。
焚火の前にいると飽きることはない。 何か考えてみたり、何も考えないでみたり。
火が弱ってきたらご飯をあげるように薪をくべる。 程なくしてまた勢いを取り戻す。
ナッツを齧り、ウィスキーを舐める。 殻は焚火に放り込む。
月を雲が隠してみたり、風が強くなってみたり、少し離れた場所で動物の気配を感じてみたり。
だが、不思議と孤独は感じない。 焚火とウィスキーが、まるで親友のように寄り添ってくれる。
いつの間にか薪は底をつき、示し合わせたように酒も底をつく。
後に残るのは孤独ではなく、心地良い余韻のみ。 シュラフに潜り込み、すぐさま眠りにつく。
やはり焚火はいい。
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